綿花異種四倍体重複ゲノムの進化的相違を明らかにした

中国農業科学院綿花研究所／綿花生物学国家重点実験室研究員の劉方チームはこのほど、国内外の複数の研究機関と共同で、全ゲノムレベルで4倍体綿花種の多倍化、適応性進化と馴化を検討し、綿花の多倍化と人工馴化過程の遺伝的変異の基礎を明らかにした。他の農作物の多倍化研究に理論的基礎を提供し、綿花の育種革新に重要な種質資源を提供した。関連成果は「米国国立科学アカデミー誌」（PNAS）にオンラインで発表された。

多倍化は植物進化の重要なメカニズムであり、多倍体植物に広範な適応能力を持たせる。一般的な多倍体植物には6倍体小麦、4倍体綿、ジャガイモなどがある。異種四倍体綿花には陸綿、海島綿、毛綿、黄褐色綿、ダーウィン氏綿、アイクマン綿、スティーブン氏綿など7つの綿花種が含まれており、そのうち上位5つの異種四倍体綿種のゲノム配列が公表されているが、最新に発見された野生綿であるアイクマン綿とスティーブン氏綿のゲノムマップは報告されていない。アイクマン綿とスティーブン綿のゲノム情報を解析することは、異種四倍体綿の進化パズルのすべての完成を示し、綿の多倍化と進化メカニズムの分析に重要な意義がある。

この研究はアイクマン綿、スティーブン氏綿と陸綿野生種系に対してシーケンシングを行い、綿花の多倍化と適応性進化過程に広く存在するゲノム構造変異を解析した。4倍体綿種の表現型分化、遺伝的隔離と遺伝的傾向が同等であることを結合し、綿の生物多様性と綿の馴化の遺伝的基礎を述べ、野生綿は馴化綿種に対して適応性の面で強い遺伝子が浸透していることを発見した。

さらに研究によると、綿花の馴化過程におけるリン酸ペプチド結合蛋白質をコードする遺伝子構造変異は繊維長と関係がある可能性があり、アルケニル補酵素Aδ異性化酵素3及びエチレン応答因子RAP 2−7は、植物ホルモンに関連する生化学的経路を調節することにより、綿花の非生物的ストレス耐性を高めることができる。

この研究結果は多倍体綿花システムの発育研究の空白を埋め、綿花の多倍化過程における適応性進化メカニズムを明らかにし、綿花の抵抗性と繊維品質の遺伝改良に貴重な遺伝材料を提供した。

この研究は国家自然科学基金などのプロジェクトから助成された。中綿所はすでに博士課程を卒業し、綿花生物学国家重点実験室安陽工学院基地教授の彭仁海氏を論文の第1著者とし、劉方氏を総通信著者とした。北京諾禾致源科技株式会社、米国アイオワ州立大学など多くの機関がこの研究に参加している。